チームラボとは?デジタルアートの未来を覗く

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アート、テクノロジー、サイエンスの境界を超越した「ウルトラテクノロジスト集団」、チームラボ。彼らが創り出すデジタルアートの空間は、私たちを単なる鑑賞者から作品の一部へと変える、予測不能な没入体験を提供します。この記事では、チームラボの設立理念から、東京の二大常設ミュージアムである豊洲(チームラボプラネッツ)と麻布台(チームラボボーダレス)の具体的な違い、そして彼らが世界に提示するデジタルアートの未来像までを徹底解説します。身体ごとアートに溶け込む、新時代の創造の世界を一緒に探索しましょう。

チームラボとは?その概要と背景を簡単に解説

チームラボの成立と歴史

チームラボは、2001年に東京大学の大学院生を中心に活動を開始した「ウルトラテクノロジスト集団」です。設立当初から、アーティスト、プログラマ、エンジニア、デザイナー、CGアニメーター、数学者、建築家など、多様な専門性を持つメンバーが「集団的創造」をコンセプトに活動しています。彼らはアート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティといった既存の境界を曖昧にし、それらの交差点から新しい価値を生み出すことをミッションとしています。

チームラボの理念とコンセプト

チームラボの作品の根底にあるのは、「境界のない世界(Borderless)」と「身体ごと没入する(Body Immersive)」というコンセプトです。彼らは、人間が世界を切り分けて認識してしまう「境界」を超越することを試みています。

  • 境界のないアート: 作品は部屋から出て移動し、他の作品と影響を与え合い、時には混ざり合います。これにより、来場者はアートを独立した鑑賞物としてではなく、連続する一つの世界として体験します。
  • 集団的創造(共創): 来場者自身が作品の一部となり、他者の存在や行動がアートに変化をもたらします。これにより、創造的なプロセスを他者と共に楽しむ「共創」の体験を提供しています。

世界に広がるチームラボの影響

チームラボは、その革新的なデジタルアートによって瞬く間に世界的な評価を獲得しました。ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポールなど世界各地で大規模な展覧会を開催し、常設ミュージアムも展開しています。米国のTIME誌が選ぶ「世界で最も素晴らしい場所」に選出されるなど、その影響力は国際的です。彼らのアートは、日本発の新しい美の価値観として、人々の世界観や行動を変える可能性を提示し続けています。

チームラボ豊洲と麻布台の特徴

東京には、それぞれ異なるコンセプトを持つチームラボの常設ミュージアムが存在します。

チームラボ豊洲の展示内容と魅力

正式名称は「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」で、豊洲に位置しています。

項目 特徴
コンセプト 水に入るミュージアムと花と一体化する庭園
キーワード 身体ごと、没入する(Body Immersive)
体験内容 靴を脱ぎ、時には水に浸りながら進む超巨大没入空間。身体全体で作品に溶け込み、アートとの一体感を味わいます。
展示順路 9つの作品を順路に沿って鑑賞する(一方通行)。
代表的な作品 《人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング – Infinity》など、水を使った作品。
会期 2027年末までの期間限定で開催予定。

麻布台ヒルズでの最新アート体験

2024年に麻布台ヒルズに移転・開館した「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」は、世界初の「地図のないミュージアム」として知られています。

項目 特徴
コンセプト 境界のないミュージアム
キーワード さまよい、探索し、発見する(Borderless)
体験内容 70点以上の作品が境界なく連続し、部屋を移動し、影響し合う一つの世界を自由に歩き回ります。来場者が能動的に探索することで、作品が変化し続けます。
展示順路 順路は決まっておらず、自由に作品の境界を越えてさまよいます。
特徴 新作を含む多くの作品が常に変化し、来場者との相互作用で二度と同じ瞬間がない体験を生み出します。

お台場のチームラボイベント情報

かつてチームラボボーダレスがお台場にありましたが、2022年8月に閉館し、現在は麻布台ヒルズに移転しています。現時点でお台場での常設展示はありませんが、チームラボは世界各地や日本国内の様々な場所(例えば、佐賀の御船山楽園など)で期間限定のイベントや野外展示を随時開催しています。最新のイベントや展覧会情報は、チームラボの公式ウェブサイトでチェックすることが重要です。

チームラボの作品とデジタルアート

代表的な作品紹介

チームラボの作品は多岐にわたりますが、特に知られているのは以下のシリーズです。

  • 境界のない群蝶(The World of Co-Creating and Wandering): 部屋を越えて移動し、他の作品と混ざり合う蝶の群れを描いた作品。来場者の動きに反応し、その存在によって生まれては消えていきます。
  • 運動の森(Future Park/Athletics Forest): 「世界を身体で認識し、立体的に考える」をコンセプトにした教育的なプロジェクト。身体を使って遊ぶことで、アートや自然の法則を体感できる空間です。
  • 呼応する生命(Resonating Life): 卵形や球形の光のオブジェが、人や風の動きに呼応して発光し、音色を響かせる作品。自然の中や広大な空間に設置されることが多く、作品の境界が環境と一体化します。
  • 憑依する滝(Transcending Boundaries): コンピュータ上の水粒子の動きをシミュレーションし、巨大な滝を描き出す作品。人が触れると水の流れが変わるなど、見る者の存在が作品に影響を与えます。

身体を使った没入体験の魅力

チームラボの最大の魅力は、単に絵を眺めるのではなく、身体ごとアートに没入する体験です。

  1. 五感の刺激: 水に入る、床が不安定に揺れる、強い光と音に包まれるなど、視覚だけでなく、触覚、聴覚、嗅覚(展示による)をフルに使ってアートを認識します。
  2. 自己と他者の認識: 作品は一人で完結せず、他者の行動や存在によって変化します。これにより、アートを介して「自分と世界との関係」や「他者との連続性」について無意識のうちに考えさせられます。
  3. 時間の連続性: 作品は常に変化し続けており、「同じ瞬間」は二度と訪れません。これは、自然界と同じように時間と共に移ろう美しさや、儚い生命の連続性を表現しています。

最新のテクノロジーとアートの融合

チームラボは、アートとテクノロジーの最先端を常に追求しています。

  • ウルトラテクノロジスト集団: アート制作のバックボーンには、高度な物理シミュレーション、リアルタイムレンダリング技術、空間認識技術などが駆使されています。例えば、水の動きや花の生成は、現実に近い物理法則に基づいてコンピュータ上で計算されています。
  • デジタル表現の可能性: 質量や形を持たない「光」を絵の具として使用することで、従来の絵画や彫刻では不可能だった、境界がなく、動き続け、他者の影響を受ける新しいアートの領域を開拓しています。彼らの作品は、デジタル技術が単なる道具ではなく、アートそのものの概念を拡張する可能性を示しています。

チームラボを楽しむための情報

チケット情報と購入方法

チームラボの常設ミュージアム(麻布台ヒルズのボーダレス、豊洲のプラネッツ)のチケットは、基本的に日時指定のオンライン販売が中心です。

  1. 公式ウェブサイト: 最も確実なのは、各施設の公式ウェブサイトから直接購入することです。
  2. 旅行代理店/予約サイト: Klookや楽天トラベルなどのオンライン旅行予約サイトでも取り扱いがある場合があります。
  3. 当日券: 空きがある場合は現地で購入できる可能性もありますが、特に週末や休日はすぐに完売するため、事前予約が強く推奨されます。

来場時の注意点と認識について

快適な体験のために、特に以下の点に注意が必要です。

  • 服装: プロジェクションマッピングが美しく映えるよう、シンプルな無地の明るい服装が推奨されます。豊洲のプラネッツでは水に入る作品があるため、膝上まで捲れるズボンや、濡れてもよい服装が推奨されます。(女性には無料の貸出ショートパンツが用意されています。)
  • 靴: 豊洲のプラネッツでは一部の作品で靴を脱ぎ、裸足になる必要があります。
  • 鏡面反射: 多くの作品で鏡や水面が使われているため、スカートの場合は特に注意が必要です。豊洲では、スカートの中が見えないよう配慮されていますが、万全を期すためパンツスタイルが安心です。
  • 所要時間: ボーダレス(麻布台)は自由に探索するため3〜4時間、プラネッツ(豊洲)は順路があるため1〜2時間が目安とされています。時間に余裕を持って計画しましょう。

イベントや展覧会日程のチェック法

チームラボは常設展示のほか、国内外で期間限定のイベントを多数開催しています。

  • 公式ウェブサイト(EVENTS/EXHIBITIONS): チームラボの公式ウェブサイトの「イベント」や「展覧会」ページを定期的にチェックするのが最も正確です。
  • SNSアカウント: 公式のInstagramやX(旧Twitter)では、最新のニュースやチケット販売開始の情報が迅速に発信されます。
  • ニュースリリース: 美術館ニュースサイトや大手旅行サイトの記事も、大規模な新作やリニューアルの情報を得るのに役立ちます。

チームラボの評価とグローバルな取り組み

国内外での評価と反響

チームラボは、伝統的なアートの枠を超えたその革新性により、世界中から高い評価を受けています。

  • アート界の評価: 従来の作品とは一線を画す「インタラクティブ性」と「没入感」が評価され、パリのメゾン・エ・オブジェや、ニューヨークのペース・ギャラリーなど、世界的なアートフェアやギャラリーで作品が展示されています。
  • 一般からの反響: 「体験型ミュージアム」の先駆けとして、SNSを中心に爆発的な人気を博しています。特に若い世代にとっては、「アートを鑑賞する」から「アートに溶け込む」という新しい体験の場を提供し、多くの人々がデジタルアートの可能性に触れるきっかけを作りました。
  • 受賞歴: 第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞など、日本国内でも芸術分野における功績が認められています。

チームラボのアーティストたちの紹介

チームラボは、代表の猪子寿之氏を中心とした集団的創造を特徴としています。猪子氏は、その哲学的な視点と、テクノロジーへの深い理解に基づき、作品のコンセプトと方向性を決定しています。しかし、チームラボの創造は、特定の個人によるものではなく、プログラマ、エンジニア、デザイナー、建築家といった多分野のスペシャリスト約1100名(2024年時点)が一つのチームとして協働することで成り立っています。この「ラボ(実験の場)」という名称が示す通り、彼らの活動自体が、現代における新しい創造のあり方を体現しています。

今後の展望と未来のデジタルアート

チームラボの活動は、単なるデジタルアートの展示に留まりません。彼らは作品を通じて、人間と世界、そして自然界との関係性、さらに「存在とは何か」といった根源的な問いを投げかけ続けています。

彼らが目指す未来のデジタルアートとは、物質とは異なる、質量のない、境界のない、そして再生し続ける世界の創造です。作品を見ることで、鑑賞者の価値観が変わり、物事に対する解像度が上がり、新しい世界の見方を発見できるような、持続的な影響を与えるアートを目指しています。チームラボは、これからもテクノロジーを駆使した「集団的実験」を繰り返し、デジタルアートの未来、ひいては人類の創造性の未来を切り拓いていくでしょう。

まとめ | チームラボが提示する未来の創造性

チームラボは、デジタルテクノロジーを駆使し、アートの概念そのものを拡張し続ける「ウルトラテクノロジスト集団」です。彼らの活動の核心にあるのは、「境界のない世界(Borderless)」と「身体ごと没入する(Body Immersive)」という二つの思想です。

東京の二大常設ミュージアムは、このコンセプトに基づき、全く異なる体験を提供しています。

  • チームラボプラネッツ(豊洲): 水に入るミュージアムとして、身体全体を使い、作品との一体感を味わう「超巨大没入空間」です。
  • チームラボボーダレス(麻布台): 地図のないミュージアムとして、作品が部屋を移動し影響し合う、境界のない一つの世界をさまよい、探索する喜びを提供します。

チームラボのアートは、単なる視覚的な美しさだけでなく、私たちが日常で無意識に設定している「境界」を超え、自己と他者、そして世界との新しい連続性を感じさせてくれます。彼らがこれからも生み出すであろう、質量のない光とデジタルな生命が織りなすアートの世界は、人類の創造性と未来の可能性を照らし続けるでしょう。ぜひ一度、その身体で、新時代の創造の場を体験してみてください。

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